タダ電を半年使って:一人暮らしなら一択?
度重なる改悪
筆者はもともと電力会社はオクトパスエナジーを契約していましたが、昨年12月よりタダ電に切り替えました。
「タダ電」は、はじめは「毎月1万円分まで電気代がタダ」という触れ込みでサービスが開始され、何といっても「電気代がタダになる」ということで話題になったのですが、サービスインからしばらくはiOS向けアプリからしか申し込みできないという状況であり、筆者は申し込めない状況でした(一瞬そのためだけに中古iPhoneを買おうかと本気で検討したのは内緒)。
その後、Androidからも申し込めるようになったため筆者は昨年12月に切り替えたのですが、度重なる改悪により無料分が激減して現在に至ります。
そこで今回は、タダ電を半年使用した結果を報告してみようと思います。結果としては、 一人暮らしならアリだけど注意が必要といった印象でした。
無料分の計算に注意
まず初めに、タダ電の「無料分」は
1万円→6500円→5000円
というように度重なる改悪で激減しているのですが、これに加えて無料分の計算方法に注意する必要があります。
当たり前といえばそうですが、この「無料分」というのはタダ電での電力単価で計算されます。ここで、タダ電の電力単価は1kW当たり70円と、一般的な電気料金の2倍程度に相当する非常に高額な設定であるため、今の電力会社での電気料金が5000円以内だとしても無料にはならないです。
つまり、実質的に無料分は71kWh程度となります。ここで、東京都の「集合住宅・一人暮らし」の平均電力使用量は186kWh/月(出展:平成 26 年度 東京都家庭のエネルギー消費動向実態調査)とのデータがあるので、これはかなり厳しい設定となっています。
夏・冬は厳しいが…
では、いよいよ筆者の半年間のデータをお見せします。その前に、筆者宅の電力消費については
- 給湯・コンロは都市ガス
- 集合住宅でありソーラーとかエネファームみたいなものはない
- 照明はオールLED・エアコンは古くも新しくもない
- 節電にはかなり気を使っている
- 契約アンペアは20Aに下げている
- 在宅時間がかなり長い
といった形で、平均よりは少ないとは思いますが何せずっと家に籠っていますからそれなりの電力消費はあります。
そして、今年の7月半ばまでの電力消費量が581.70kWh 、料金は6444円でした。
表にするとこんな感じ。
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
使用量 [kWh] | 94.5 | 94.9 | 84.5 | 69.2 | 73.6 | 90.9 |
料金 [円] | 1000 | 2018 | 1301 | 0 | 0 | 1602 |
正直なところ、一人暮らし・都市ガスであっても0円で乗り切れるのは春・秋の短い期間だけというのが現状です。
しかしながら、年平均で考えれば十分安価ですし、0円でない月も損益分岐点は超えていないと思われるのでやはり一人暮らしならタダ電一択だと思います。
タダ電の継続性
一方で、タダ電は万人に勧められるものではないのも事実となっています。
まず、「なんか安そうだから」といって飛びつくと電気代が倍以上に高くなるリスクがあるため、自身の電力消費量を把握し続けることが面倒だと感じるならやめておいたほうがいいです。
そして、電力消費量を把握するクセをつけたらつけたでそれが気になり続けてしまうという問題が生じます。特に、タダ電を使っていると月末は電気使い放題タイムになるか、あるいは1kWh71円に怯えながら電気を使うかの両極端な状況になりがちです。
また、これまでの度重なる改悪に加えて事業の継続性にも疑問が残ります。
タダ電はアプリ内での広告配信や、 電気を5,000円以上利用される方への電気の小売を収益としていると説明されていますが、このうち「アプリ内での広告配信」は一度も見たことがないですし、アプリを消しても使用できるので実装されたとしてもその収益性には疑問があります。
さらに、運営会社であるエスエナジーでは、「Coming Soon」と書かれているサービスが2つありますが全くもってローンチされる気配はありません。
何をどう考えても収益性があるサービスにはなっていないので、今後の更なる改悪やサービス終了に振り回される可能性は十分にあると考えられます。
私は果たしていつまで持つのかを楽しみに(?)しながら、その時まで利用し続けたいと思います。