DaVinciでYouTube向けに音量調整する「正しい」方法
筆者は高校生時分にAviUtlで文化祭向け動画を編集して挫折して以来、動画編集からは距離を置いていたのですが、所与の事情で業務として動画編集を行うことになりました。
もっと簡単なソフトでもいいのですが、せっかくならということでDaVinci Resolveを使ってみることに。しかし、これがかなり難しくて1分の動画編集に10時間かかったりしていたのですが、その試行錯誤の中でYouTube向けのラウドネスノーマライゼーション(音量調整)における「落とし穴」 を発見したので備忘録としてまとめます。
「オーディオのノーマライズ」オプションではNGな理由

よく紹介されている方法として、レンダー設定からYouTubeプリセットを選び、「オーディオのノーマライズ」をオンにしたうえで「標準にノーマライズ」とする方法です。筆者もこれでソフトが勝手に調整してくれるから大丈夫だと思ったのですが…

YouTubeの統計情報を確認すると、ラウドネスは -4.1dBであり全然足りていないわけです。
「ピーク」に注意せよ!
なぜこうなったのか最初はよく分かっていなかったのですが、分析を進めるうちにトゥルーピークでリミットがかかっていたことが判明しました。

Fairlightページから「オーディオレベルをノーマライズ」を選び、ノーマライズモードをYouTubeに設定すると、ラウドネスの上にターゲットレベル:-1.0dBTPの表記があることがわかります。

この状態でノーマライズを実行すると、トゥルーピークが-1.0dBTP程度になる範囲内でノーマライズが実施されます。結果、この図に示すような鋭いピークが存在する場合、そのピークが -1.0dBTPの制限に当たってしまってあまりラウドネスが上げられず、結果としてノーマライズをかけたのにラウドネスが不足してしまうことがわかりました。

じゃあどうしたかというと、私はまずITU-R BS.1770-1(トゥルーピークを考慮しないモード)でYouTube向けラウドネス(-14LKFS)まで無理やり音量を上げました。

こうするとピークをガン無視で音量を上げるので、もちろんピークがオーバーしてしまいます。

そこで、対象トラックにFairlightFXのLimitterをかけてピークを抑えることでトゥルーピークを規定値内に収めました。コンプレッサーをかけるのが正しい気もしますが、難しかったのでとりあえずリミッターでしのぎました。

この状態で、デリバー設定でノーマライズを無効にしたうえで書き出すと、このように完璧なラウドネスを叩き出すことに成功しました。
複数トラック編集時の罠
この例ではトラックは1つだけでしたが、実際は複数トラックを扱うことになります。この場合もまた別の要因で戸惑ったのでその辺をまとめます。
複数トラックのラウドネス確認方法
まず、複数トラックの場合はトラックを右クリックして「オーディオレベルを分析」では1つのトラックしかラウドネスを確認できない問題があります。

この解決策は2つあって、
- ラウドネスメーターを見て手動で確認する
- 「ミックスをトラックにバウンス」を使って1つのトラックにまとめる
のいずれかです。
私は
- まず全トラックを -14LUFSに合わせる
- BGMトラックの音量を調整する
- BGMを足すと -14LUFSを超えるので、メーターを見ながらミキサーで全体の音量を下げて -14LUFSにする
- -14から超えた数値だけ全体の音量を下げればOK
- 最後にミックスをトラックにバウンスを使用して結果を確認
という手順で調整しました。正直、地道です。
参考ページ:動画全体のラウドネスの計測はできますか?

さらに、Fairlight FXでトラック別に設定したエフェクトは「オーディオレベルを分析」の結果に反映されるものの、ダイナミクス設定やミキサーの設定はエフェクトのかかる順序の問題から 「オーディオレベルを分析」の結果に反映されないという点でもつまづきました。
動画編集において映像のほうに気を取られがちですが、音量調整って割と「素人っぽさ」が出やすい部分ですし、時代はラウドネスウォーですから、皆さんも限界まで音量を上げていきましょう。

なお、ラウドネスにこだわる弊害として有名YouTuber/VTuberのラウドネスを片っ端から確認して文句を言いたくなるという症状が発生します。とくに大手VTuberは軒並みラウドネスが大きすぎる傾向にあり、この例では限界突破しすぎてYouTube側に39%まで音量を落とされています。こうなると音質が低下してしまうので、歌動画なのにこれはダメじゃないですか、ホロなんちゃらプロダクションさん。
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