有線ヘッドフォンをどこでも気軽に高音質で(DSDはダメ)[FIIO BTR-17]
先日12万円のヘッドフォンを購入し、さらにイヤーカフ型イヤフォンも購入するなどオーディオ沼にハマりつつある筆者。

以前の記事で「DACなんぞ音質に関係ない」との持論を述べましたが、今回はFIIOのBluetoothオーディオレシーバーBTR-17を購入しました。オーディオ機器のレビューといえば「音質」ですが、実際のところ音質なんて主観的なものですし、このクラスになると悪いなんてことはないわけです。また、いくら音質が良くても使い勝手が悪ければ台無しなので、今回は操作性・接続性を中心にレビューします。
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ハイエンドヘッドフォンを気軽に高音質で

BTR17はいわゆるBluetoothレシーバーですが、そこらのBluetoothレシーバーとは異なり音質にこだわっているのが特徴です。まず、出力端子は通常の3.5mmアンバランスに加えて4.4mmバランスも搭載しています。何気に3.5mmはマイク付きイヤフォンに対応しています。
また、ES9069Q DACをデュアルで搭載し…みたいなスペックに関する情報は製品ページを見てくださいという感じなんですが、個人的に気になったのはTHX AAAアンプを搭載している点。こういう製品って「DACチップに〇〇使用!」とか「最大出力〇mW!」みたいなところが主張されがちですが、アナログ段もこだわっているとのことで音質が期待できます。今回は、以前に購入した12万円のヘッドフォンを、もっと気軽に使いたいということから本製品を購入しました。
良い点
ではまず、この製品の優れている点をサクッとまとめていきます。
物理スイッチでUSB DAC/Bluetoothが切り替え可能

側面にあるスイッチで、Bluetoothレシーバーとしても、USB DACとしても使用できるのでこれ1台あればすべて完結します。この切り替えが物理スイッチなので、USB DACとして使おうとしてBluetoothで繋がるということもないので非常に快適です。
なお、USB DACモードはPCとPhoneがあり、Phoneにすれば内蔵バッテリーで駆動するUSB DACになるのでスマホのバッテリー消費を抑制することが可能です。
給電専用ポートがある

底面には充電/USB DAC兼用Type-Cポートの隣に給電専用ポートがあることで「USB DACとしては認識してほしくない、給電だけしたい」とか「スマホにつなぎつつDACの電源は別で取りたい」といった要求にも対応できます。
バッテリ充電80%停止機能+Car Modeで安心・快適にUSB DAC化

これ、個人的に最重要事項だと考えているのですがバッテリ充電を80%で停止する機能が搭載されています。また、後述の「Dモード」に入れれば充電を完全に停止することも可能なので安心してPCに刺しっぱなしでUSB DACとして運用できます。
さらに、(なんかネーミングがわかりづらいですが)Car ModeをオンにすることでUSBバスパワーと連動して自動で電源をオンオフできるので、普通のUSB DACとして使用できます。
もちろん高音質
あと、当然ですが音質はいいです(一言)。一方で、ヘッドフォンを変えたときほどの変化はないのも事実です。
気になる点
はい、では購入を検討する際にもっとも気になる「微妙な点」についてまとめます。
音量の同期は不可
これが個人的にはもっとも不便だと感じました。どういうことかというと、BTR17側のボリュームはPCやスマホの音量調整には一切反応しないので、ハードウェアボリュームを調整したければBTR17のボリュームダイヤルを回す必要があります。結果として、排他モードを使うとPC/スマホ側では一切の音量調整ができなくなります。
この動作についてFIIO公式HPに「意図的にスマートフォンとは同期しない仕様」としているとの記載があります。確かに「オーディオガチ勢」の皆様からすれば「ソフトウェアボリュームは常に100%固定で有効ビットをすべて使い切らないなんてありえない」のかもしれないのですが、それで得られるごくわずかな音質向上よりも利便性を取りたい場面もあるので、せめて切り替えられるようにしてほしかったです。というか、単にハードウェアボリュームをソフトウェア側から制御すればいいだけなような…

幸い、音量調整はダイヤルで操作できるので安心…と言いたいところなのですが、このダイヤルは勢いよく回すと値が変化しないので、素早く音量を調整できず不便です。なお、安全を考えた設計なのか、単なる不具合なのかは不明です。

ちなみに、音量は最大値制限があるので意図せず爆音になるのを防げます。初期設定ではハイゲインになっていますが大抵のヘッドフォン/イヤフォンではローゲインで事足りるのでローゲインに切り替えておきましょう。
D.Mode、いる?

側面下側のスイッチでデスクトップモードのオンオフが切り替えられ、POWER IN端子に外部電源を接続した状態でスイッチを入れると出力が最大650mWまで増加します。巷では「デスクトップモードを入れるとめっちゃ音質が良くなる」とかいう噂が観測されますが、どう考えても音量がデカくなるだけだと思います。なぜなら、スイッチをオンにすれば音質が向上するならば常にオンにしてスイッチを廃止すればいいからです。
D.Modeは他のFIIOのデバイスにも搭載されており、マーケティング上の理由から独立スイッチとして搭載された感があります。スイッチをオンにすると音量が一段上がるのですが、基本的に音量が大きくなると音質が向上したように感じるので「騙せる」わけですね。
しかも、このD.Modeはオン/オフとPOWER IN端子への電源接続状況に応じて複雑に動作が変化してややこしいんですよね。たとえばPOWER IN端子に外部電源を接続せずにUSB DACモードで動作している場合にD.ModeスイッチをオンにするとD.Modeはオンにならずただただ内蔵バッテリ動作になってバッテリが減るので、意図せずバッテリを消費してしまいます。なので、私は二度とオンにすることはないでしょう。
付属ケースのUSB端子の切り抜きがやや小さい

これはそこまで致命的ではないのですが、付属しているケースのUSB端子の切り抜きがそれほど大きくないので、オーディオマニア御用達のボッタクリクソデカUSBコネクターを接続しようとすると干渉しそうです。

あと、初期状態でケースに刺さっていた緩衝材がなんか汚いのも中華です。ケースのクオリティはとくに問題ありません。
マニュアルの情報が少ない

たとえば「そのマークなに?」という情報がどこにも載っていないです(Redditを漁ったところ「矢印が上向きならハイゲイン、下向きならローゲイン」らしい、わかるか)。なお、Redditでも指摘されていましたが中央下にある「HR」マークは何を再生しても光らないです。
また、ファームウェアアップデートの情報は日本語ページの更新が遅いためグローバルサイトの情報を見に行ったほうがいいですが、これもまたわかりづらいです。
DSD再生に不具合
本機はUSB DACモードでDSDネイティブ再生に対応しているはずなのですが、DSDネイティブ再生時に大きなホワイトノイズが発生して使い物になりません。この問題はFIIO公式サイトのコメントでも指摘されていたので、不具合だと思います。
まとめ
全体的に「中華感」は払拭できない部分もありましたが、一方で本格的なUSB DACにもなるBluetoothレシーバーという製品自体が少ないため「USBでもBluetoothでも手軽に最高級の音質を楽しみたい」という方には最適だと思います。
一方で、DSDの再生がままならないのはさすがに修正してほしいと感じます。なお、アリエクなら3万円以下で買えますが、技適とか模造品、輸入関税とかを考えるとおススメはしません。
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