日商簿記3級を3週間で取ってみた
1:いつも通り「思いつき」で
未だにネスペの結果も乙4の免状も届いていないある日にネットニュースをぼんやり眺めていた筆者。すると、こんな記事を発見しました。
資格オタクを名乗る筆者ですからそんなこと言われたら取らざるを得ない、ということで日商簿記3級(CBT方式)を(いつも通り)思い付きで取ることに決定。1か月以下で取得したのでその感想や勉強法をまとめます。
2:本1冊で終わらせる
日商簿記って名の知れた資格ですが、思ったより参考書は少なかったです。筆者は一番売れていて、かつ価格が安いということで「パブロフ流でみんな合格」シリーズを購入。購入した参考書はこの1冊のみです。価格が1500円程度とかなり良心的。
簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 2021年度版 新品価格 |
もうちょっと内容が欲しいと思う場面も少しはありましたが、マンガと組み合わせた構成となっており、とっつきやすい印象でした。また、試験内容の改定やCBT試験にもしっかり対応しており(CBTの模擬試験が付いているのは便利でした)、価格も安いのでとりあえずこれを買っておけば間違いないでしょう。
3:ホームポジションの暗記が面倒ならこうしよう
筆者の学習期間は約3週間で、学習方法はいつも通り教科書をざっと読む→問題を解くという感じでした。というわけで、ここからはどのような学習を行ったのかをまとめます。
まずは面倒な暗記が大嫌いな筆者が思いついた、簿記の基礎である仕訳問題を暗記に頼らず楽に解決する方法を紹介します。簿記を行うためには何よりもまず仕訳を正しく行わないと始まりません。そして、テキストではホームポジションを全て暗記することを求められるわけですが、いちいち「現金は左、売上は右」なんて覚えたくありません。というわけで、筆者が思いついた方法は
「現金は左」とだけ覚えておいて、後はここから推測する
という方法です。どういうことかというと、例えば「売り上げると現金(左)が増えるので売上は右」「手数料を支払うと現金(左)が減るので手数料は左」というように、取引を行った結果として最終的に現金が増えるか減るかを考えることでホームポジションが分かるというわけです。これなら、「貸倒引当金繰入」みたいなややこしいものが出てきても「これは費用だから左」と仕訳ができます。この方法で筆者は暗記せずに乗り切りました。ただし、たまに間違えるので確実に点数を取りたいなら暗記したほうがいいです。
また、問題集は購入せず、日商が公開しているサンプル問題や仕訳問題の練習アプリ、更にはネットに転がっているCBT試験の練習問題を使用しました。仕訳問題練習アプリは「パブロフ流」のものもありますが、こちらは無料でかつ手書きメモ機能付きで便利でした。
4:「左右の一致」を追及せよ
仕訳問題はそんな感じで簡単にクリアしたんですが、賃借対照表や試算表などの作成問題で全く計算が合わないという事態に遭遇。何かを書き忘れたり、電卓への入力をミスしたりして借方と貸方が合わず、間違っている個所を必死に探すということを何度も繰り返しました。これについては「注意して計算する」くらいしか解決策はないので辛かったです。あえて解決策を挙げるとすれば、決算整理仕訳による修正記入は必ず左右が一致するので、左の項目を計算に入れたら同時に右の項目も書き加えて常に左右を一致させながら進めることで反映忘れを防ぐことができます。
まあ、「コツ」みたいなことを語っておきながら実際はあまりの計算の合わなさに絶望して試験1日前にして勉強を投げ出して、何となくAKBのMVを見始めたりしてました。そんなわけで結局は89点と、あんまり点数はよくなかったのですが、合格は合格なので問題ないです。
5:CBTか、ペーパーか
最後に、試験形式について。現在、日商簿記3級はCBT方式と従来型のペーパー試験の両方が受験でき、どちらで合格しても同等な扱いとなっています。じゃあどっちがいいかという話ですが、筆者は
- 試験日・会場が多く、気軽に受験できる
- その場で合否が分かる
- 手書きしなくてよい
というメリットからCBT方式を選択しました。気軽さという点ではCBT方式は圧倒的ですが、次のような欠点もあります。
- 問題用紙に書き込めないので、問題が解きづらい
- 試験日が多く、ついついサボりがち
- 手数料が上乗せされる
問題はディスプレイ上に表示され、別途メモ用紙が渡される形式で、問題に書き込めないのは特に第3問では解きづらいです。また、随時申し込みなのでついつい「来週でいいか~」となりがちですから、早めに申し込みましょう。
というわけで、思い付きで日商簿記3級を取ったよという話でした。次は約1カ月後にTOEICが控えているので、サボりにサボって低下した英語スキルを取り戻したいと思います。なお、未だに勉強を始める気は起きていません。
おまけ:簿記試験の有用性と日本企業の未来
実は、筆者は高校時分に恩師から「簿記なんかやるな」と言われた経験があります。そこまで言わずとも、筆者も少なからず簿記試験の有用性には疑問を抱いています。具体的には、簿記試験自体は問題はないですが簿記試験が重宝される日本企業に問題があると考えています。
当たり前ですが、簿記試験はCBT方式であっても「SUM関数」なんて使わせてくれず、PCの画面に表示された数字を電卓に入力し、結果を再びPCに入力するというこの上なく無駄な作業を行わされます。これは試験だから仕方がないとも言えますが、同時に日本企業の内情をよく表しているのではないかと感じています。筆者は学生なので実情はよく知りませんが、数年前にExcelのSUM関数が使えるだけで「さすが理系!」と取り上げたTV番組が話題になっていたこと、及び大企業であっても膨大な紙の伝票・請求書等を使用していることから推測するに、日本企業ではそこそこな大企業であっても 「経理部」みたいなところが膨大な紙の資料+電卓という、この上なく生産性・信頼性の低い方法で会計を行っていると考えられるわけです。もしかしたら本当にSUM関数すら知らないかもしれません。会計ソフトを1本買えば済む話なのに、です。
というわけで、簿記を取った直後ですが将来は簿記資格がありがたられないような企業に就職することを目標としたいと思います。また、さすがに「SUM関数を使える=理系」という話は嘘だと信じたいです。