最早アイドルではない:河合奈保子 JAPAN as waterscapesを聴く
1:まさかの「監修:市川右近」
いきなりいつぞやの経済白書の文言をパクッてしまいましたが、今回は河合奈保子の14thアルバム「JAPAN as waterscapes」を聴きながら、河合奈保子さんはアイドルでもあり、アーティストでもあるということを実感していこうと思います。
「アイドルからアーティストへ」の転換点としてよく挙げられる名曲「ハーフムーン・セレナーデ」はちょうどこの1つ前のアルバム「スカーレット」の最後に収録されています。また、「スカーレット」で初めて全曲作曲:河合奈保子になったわけで、13thアルバムがちょうど「転換点」だったことになります。
そして、14thアルバムでは完全にアーティストとしての面を押し出しているわけです。まずアルバムタイトル「JAPAN as waterscapes」からして最早アイドルではないです。
私が勝手に恒例にしている「帯の売り文句チェック」。今までは昭和のノリを感じる、正直訳の分からないものも多かったですが本アルバムでは
初めてなのに、懐かしい歌がある。
と、最早演歌ですかと言いたくなるような文言が書かれています(アイドル+演歌、なんかおニャン子クラブにそんな人がいたような…)。
更に、歌詞カードはめっちゃ「和」なデザインとなっており、まさかの縦書きとなっています。なんかやけに歌詞カードの背景の絵が素晴らしいなと思って調べると、なんと監修:市川右近、監督:原神一。言ってしまえばたかだか歌詞カードのデザインに著名人を起用できるのはバブルの力なのか?
また、歌詞カードの裏表紙にはプロデューサーによる曲紹介がついているのが高評価です。ただし、これは元々レコードサイズだったものをCDサイズに縮小したものなのでとても読む気にはなれないほど文字が小さいです。スキャナーでスキャンして拡大したら何とか読めるようにはなりましたが。
2:ハイレゾは意味がない(とか言いながら買う)
今までのアルバムは全10曲でしたが、こちらはインスト1曲ボーナストラック3曲(インスト1曲+リミックス2曲)が追加されて全14曲。それでもお値段そのまま3080円。オンライン配信の基準価格である「1曲250円程度」とほぼ同じで、しかも物理的に手に入るわけだから意外とお得ですよね…とか言いながら実は十六夜物語だけ割高なハイレゾ版も購入したのでもはやコスパとか関係ないんですが(なおハイレゾとCD-DAの違いは私には一切わかりません)。
アルバムの全体のイメージとしては、「和」といったところでしょうか。凝ったことは言えないので「買って歌詞カード裏表紙の解説を頑張って拡大して読んでください」という感じではありますが、帯の売り文句「初めてなのに、懐かしい歌がある。」の通りに、日本の伝統的な美を表したような曲がそろっているという印象です(背のびした表現)。
個人的には、名曲「十六夜物語」はもちろんのこと(これを「いざよい」と読むと初めて知りました)、11曲目「晩夏に人を愛すると」が好みですかね。美しいメロディーに美しい歌声で何度も聴きたくなる、そんな1曲です。
3:「アイドル」とは
そして、改めて感心するのは全曲作曲:河合奈保子であること。容姿・歌声の素晴らしさに加えて作曲までできちゃうって凄すぎます。ちなみに、最近は歌唱映像を収録したDVDを購入して改めて「どこぞのアイドルグループとは違って歌唱力、凄いな」と感心しているわけですが、本当に「アイドル」ではなく「アーティストだな」とつくづく感じます。
というわけで、「どこぞのアイドルグループ」を敵に回すような発言をしましたが実際は歌が下手というのも逆に推しポイントになるのがアイドルだったりもしますよね。某アイドルグループのライブ映像を見て感じたのですが、「歌が下手だけど頑張っている」という点が逆により応援したくなったりするもので、やっぱりアイドルって奥が深いです…