アース線の必要性と延長・分岐方法あれこれ
1:アース線、接続していますか?
洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫なんかでよく見かけるアース線、皆さんのご家庭ではきちんと接続しているでしょうか。 そもそも気にしていないという方や、アース端子が近くにない、という方も多いかと思います。 そこで今回は、なぜアースが必要なのかを理論的に解説して、そしてアース端子が遠い・足りないという方のために その延長・分岐方法を紹介します。
2:(一応)電気工事士
ちなみにですが、私は実務経験ゼロの「なんちゃって」電気工事士です。 家のコンセントをいじりたい、というためだけに高校生の時に所得したのですが、 今となっては賃貸住宅に一人暮らしで全く生かすところがありません。 生かすところがないなら記事でも書こう、そんな感じです。
3:そもそも「漏電」とは
そもそも「漏電」とはどういう現象なのかを解説します。漏電の要因は様々ですが、 例えば電子機器内に水が浸入した場合を考えてみましょう。水は(超純水とかでない限り)電気を通しますので、 こんな感じで内部の電気回路と機器の筐体(外の箱)が繋がってしまうと、筐体にも電気が流れてしまいます。 これが電気が漏れ出した状態、即ち「漏電」です。この状態で機械に触れてしまうと、ヒトに電気が流れてしまうので 危険です。また、後述しますがアース線は筐体に繋がっています。
アース線はこんな感じで機器の筐体に繋がっています。また、壁のアース端子は地面に繋がっています。 具体的には、地面に挿した銅製の棒や水道管に繋がっています(ガス管は安全性上・法律上NGです)。
4:アースは「漏電を知らせるため」にある
アースは「漏電したときに電気を逃がすためにある」、という説明がよく聞かれます。 そして、確かにこれは正しいです。しかし、アースにはもう一つ重要な役割があります。 それは「漏電遮断器に漏電を知らせる」というものです。
5:漏電遮断器の仕組み
漏電遮断器(漏電ブレーカー)とは、センサーにより漏電を発見し、電源を切断する器具です。 大抵は配電盤内の主幹ブレーカー(赤枠内)と一緒になっています(古い家では稀にない場合もありますが、 その場合は電気屋に依頼して取り付けてもらった方が良いでしょう)。
こんな感じでテスト用ボタンが付いているのが特徴です。このボタンを押せば漏電遮断器が正常に動作するか確認することができます (その代わり、家の全電源が一旦遮断されます)。
では、ここから漏電遮断器の動作を説明します。 電流は回路、即ち「輪」の中を流れるわけですから、普通であれば「出ていく電流=帰ってくる電流」 となるわけです。
ここで、アースが繋がっていた場合に漏電したらどうなるかを見てみましょう。 アースが繋がっているので漏電が発生すると漏れ出した電気はアース線から地面に逃げていきます。 すると、「出ていく電流>戻ってくる電流」という状況が発生します。 この違いを読み取って漏電遮断器は漏電を発見し、自動的に遮断します。
では、もしアースが繋がっていなかった場合を考えてみましょう。家電製品を地面や金属の上に直置きする人は まずいないので、漏電が発生しても電気が逃げていく場所がありません。つまり、「出ていく電流=戻ってくる電流」 なので、漏電遮断器から見れば「何も起こっていない」訳です。その結果、漏電遮断器が動作せず、ヒトが触って感電 して初めて遮断されるわけです(ヒト→地面で電気が逃げる)。しかも感電しても遮断されるとは限らないので非常に危険です。
以上のことから、アースは感電防止のために重要な役割を果たすため漏電の危険性が高い機器は特に接続する必要があります。
5:アースの接続方法
では、アース線の接続方法を見ていきましょう。まずは、壁コンセントにあるアース端子のフタを開けます。 マイナスドライバーで開けると簡単ですが、フタに傷がつくので結局は指を突っ込んで開けるのがよさそうです。
すると、アース端子が出てくるのでまずはプラスドライバーでネジを緩めます。 この時、ある程度緩めると止まるようになっていますが、それを超えて無理に緩めるとアース端子が破壊されてしまうので 緩め過ぎないようにしましょう(まあ、普通に緩めれば大丈夫ですが)。
次に、アース線の被覆を除去し、導線を撚っておきます。大抵はアース線の被覆に予め切れ込みが入っているので、 そのまま引っ張れば被覆が取れて中の導線が露出します。
そして、先程撚っておいたアース線を緩めた端子の下側から挿入します。この時、被覆が端子に噛み込まないように注意してください。 導線が僅かに見えるくらいで止めておきます。 また、右ネジなので左側から挿入するとより確実に接続できます。
その状態でネジを閉め、フタを閉じれば完成です。アース線を引っ張って容易に抜けなければきちんと接続されています。
しかし、重要だとはいってもアース端子が遠い場合や数が足りない場合もあると思うので、その際の延長・分岐方法を解説していきたいと思います。
注意
ただし、アースが足りない・届かない場合の本来の解決方法は「工事を依頼して端子を設置してもらう」ことのみです。 従って、以下の解決策はあくまでその代用策として、自己責任で採用してください。
6:アース線の長さが足りない時
アース線はただの1本の導線なので、適当に導線を買ってきて延長することができます。 私は実際、電子レンジのアース線は延長して接続しています。 延長方法としては、アース線と別の導線を捩って接続するだけでも良いのですが、それだけだと接続が不安なので私はハンダ揚げを 行っています。まあ、一般家庭にハンダごてはないらしいので無理じゃねーか、と言われそうですが。 最悪はよじり合わせておくだけでも「繋げないよりかは」マシです(アース線は普段は電流が流れることはないので別に絶縁しなくても大きな問題にはなりません)。ちなみに、線の色は別に緑じゃなくても機能的には問題ないです。
7:アース端子が足りない時
アース線2本位であれば、1か所のアース端子に同時に突っ込めば対応できると思います。 アースが4本位ある、とかいう状況になったときは、この端子台を使うのが良いと思います(用途外使用ですが)。
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本来は自動車の電源を分岐するためのものですが、導線を差し込むだけで使える便利商品です。
こんな感じでアース線を差し込み、反対側のコードを壁のアース端子に差し込めば4分岐にすることができます。
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又はこういう端子台でも分岐可能です。
私はこれで分岐しまくっています。まあ、ここまで本気になってアースをつなげる意味があるのかは微妙ですが。